うちにいる誰か

2年くらい前から住んでるこの家には、私と同居人の他に誰かいるんじゃないかってことになっている。

それがいる場所は決まってて、一応玄関あたりということにしている。私たちの部屋やキッチン、トイレには入ってこないルールだ。

その存在を気にし始めたのは、同居人から。私が何日か家を開けて帰ってきたときに、『あ〜1人でめっちゃ怖かったんだよね。夜とか!やっぱなんかいるだろって思った瞬間があって。でももう慣れてきたよ。』と彼女は言った、私の立ってる玄関で。

 

その言葉をきっかけに私もそれが気になり始めた。ときどき夜中に急に鳴り始める火災報知器。料理も何もしていないのに音を出すので、掃除機で埃を取ったり換気をしたりした。しかしたまに鳴り、私たちが部屋のドアを開けて顔を覗かせると止むのを繰り返す。今は飽きたのか、静かにしている火災報知器。

 

バスルームのドアは上部にすりガラスの小窓があって、そこから玄関が覗ける。

ある夜1人でシャワーを浴びていた私は、何気なくそちらを見やった。何かがすらっと小窓越しに動いたのが見えた瞬間、私はそれを素直に受け入れるしかないと思った。もう怖がるのはやめよう、だっているんだもん、仕方ないじゃん。

幽霊、お化け、怖いのでできたら会いたくないです。でももうOKってなんか急に諦めがついた。

 

それからしばらくして、ソーセージ焼いてるときにちょっと目を離したら一本なくなってたこともあったな。それは良くないだろと思った。

 

この家は長いこと建っているので、前からの住人がまだ住んでてもおかしくないよなとは思っている。むしろこっちは住まわせてもらってるくらいの感覚で、平和に共存していきたい。

 

でも一週間前、金縛りにあったときに玄関にいるそれが、そのままキッチンで水道水をごきゅごきゅっと飲んだあと、うっすら開けちゃってた私の部屋のドアの隙間から入ってきて、私の腹の上に乗っかてきたことがあったな。

(いや、私の部屋には入らない約束だったじゃん)と思いました。